グラン・トリノ  GWの映画
5月1日は映画の日。
世間はゴールデンウィーク気分真っ盛りですが、一応平日。
でも、あんまり仕事も立て込んでなかったので、観たかった映画を。



映画のエンドロールで流れた "Gran Trino" を聴きながら・・・。
メインはJamie cullumの歌ですが、冒頭部分はクリント・イーストウッドが唄っているようです。
この曲についてはまた最後で・・・・。

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この映画はクリント・イーストウッドの俳優として出演する最後の映画だとも言われていますね。

いきなり結論からですが、いい映画でした。
エンディングの曲を聴くと、再びジーンと感動が甦ります。

妻に先立たれた、フォードの工場の職人だったイーストウッド演じる老人ウォルトが、息子夫婦や孫たちとも疎遠な関係を続けながら、あるきっかけで、隣人となったアジア系住人とのふれあいを深めていく様子を描いています。

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ウォルト(イーストウッド)に残されているのは過去の栄光の象徴であるフォード車、72年製グラン・トリノと愛犬のデイジー。

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デトロイトのフォード工場で長年勤めたウォルトは人種差別的な典型的な白人の老人。
時代の移り変わりと共に、近隣にはアジアからの移民が数多く住むエリアとなった地域が舞台です。
かつてはフォードやGM、そしてクライスラーなどのデトロイトを代表する自動車工場に勤める職工が数多く住んでいた街だったのでしょうね。

隣人のアジア人(ベトナム戦争難民のモン族という表現でした)の無防備なまでの、あるいは押し付け的な関わりが徐々にウォルトの気持ちを変えていくわけなんですが・・・。

ウォルトの演じる老人は人種差別的な発言を山ほどするのですが、どの人種民族に対して限った事ではなく、登場する白人(イタリア系、アイルランド系など)、ヒスパニック系、黒人、アジア系、全てに対して偏見を持っています。

映画全体を通じてありとあらゆる人種が出てくるのは、一つの人種に対する偏見(差別)という図式を薄めたいからなのかなと思いました。

意味もなく出てくる(意味がないということはないか・・・)、イスラム系の看護士やインド人の服の仕立て屋など、数多くの人種がさらっと画面を横切って行きます。

白人の登場人物の中で面白かったのは、教会の若い神父でした。


少し話はずれますが、この神父さんを見ていて、思い出した事がありました。
以前、小生の父親の法事の時、いつも来ていただいているご住職の代わりりに、私の同級生でもある、ご住職の息子がやってきました。
迎えた小生も緊張しましたが、可笑しかったのは、同級生の彼が読経の後、いっぱしに説法しようとした事でした。
当時小生達は37~8歳ぐらいだったでしょうか。
説法を始めた彼の口調がまるで落語家のようで、笑いを堪えるのに大変でした。

いくら勉強したとはいえ、亡くなった者の遺族の前で、人の生き死にを説くにはあまりにも経験がなさすぎて、話が軽くて軽くて・・・。

もっと自分の言葉、口調で残された者たちと同じ空気を感じるように話したらいいのに、「あ~、彼にはこれが職業なんだなぁ~」と感じた瞬間でした。


元に戻りますが、映画を通して、若き神父もまた成長していくのです。
最初、軽かったこの若き神父の言葉もやがて、最後には彼自身の言葉、口調で自然に人の心にしみていく説法をするようになったのです。


この映画には色々な象徴が表現されているように思いました。

・かつては白人が大半を締めた街に巣食う、ヒスパニックやアジア系のギャング
・今や崩壊寸前のアメリカ自動車会社に勤めた白人老人
・その息子はトヨタのディーラーに勤めランドクルーザーに乗り、それが裕福な生活を支えている
・イタリア人の床屋
・アイルランド人の建設業者
・アジア人の風習・しきたり・食事など
・イーストウッドが過去の映画で使ってきた汚い言葉のオンパレード
・隣人スーが黒人の不良に絡まれた時、彼女を守れなかったへなちょこ白人はイーストウッドの次男(Scott Reeves)


映画の後半では老人ウォルトが隣人のアジア人を救うために、そのアジア人と同族のギャングと立ち向かうのですが・・・・・。
結果は、今までのステレオタイプなアメリカンヒーローとは違いました。
まるで日本の昔の仁侠映画のような感じもします。

決して、哀しい映画でも、重い映画でもないように作ろうとしているんじゃないか、と思いました。
映画の最後に流れる、クリント・イーストウッドと長男カイル・イーストウッドの共作曲、"Gran Trino"とデトロイト郊外を走る湖岸道路のシーンによって、その効果が最大限に引き出されていると思いました。
イーストウッドの歌声が渋くて、渋くて・・・・、とてもいい曲です。

so tenderly your story is
nothing more than what you see
or what you've done or will become
standing strong do you belong
in your skin; just wondering

gentle now a tender breeze blows
whispers through the Gran Torino
whistling another tired song
engines humm and bitter dreams grow
heart locked in a Gran Torino

it beats a lonely rhythm all night long


アメリカ自動車産業崩壊の年、それもBIG3の一つであるクライスラーが経営破たんとなって、いずれイタリアのフィアットの傘下となるとニュースで流れました。

2009年、日本製のハイブリッド車の販売は好調のようですが、かつての大排気量の"マッスルカー"に乗っている人が少なくなっています。

ただ、こだわりをもっている人間も残っているものです。

小生の弟もその一人ですが・・・・・。
1969年式フォードマスタングが彼の愛車です。

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映画のグラン・トリノよりさらに古い・・・(^_^;)

リッターあたり3~4kmというひどい燃費のようですが・・・・・(>_<)



古きよきアメリカ・・・・・それすら一つの固定的な価値でなくなっていく今日この頃の映画でした。





あ~面白かった。


Comment

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はじめして!
初カキコいたします!
グラン・トリノをキーワードに、
ふらふらとしていたところ、
酔いどれチロリさんのところに
たどり着きました。

この映画、賛否両論というか、評価は半々ですね、ネットのカキコ見てますと。
あ、私は賛同派ですが!

>この映画には色々な象徴が表現されているように思いました。

の下りの中にあるよう、現在のアメリカの不安や迷いもしっかり織り交ぜられていますよね、それも絶妙に。

いろいろな意味で、この作品のように、丁寧に作り上げられた映画、もっと増えてくれたらいいですね。
きりちゃん | URL | 2009/05/06/Wed 11:32 [EDIT]
No title
きりちゃんさん

はじめまして。ようこそお越しいただきました。

私はあんまり映画評を見ないままに観に行くのですが、とてもよい映画だと感じました。

イーストウッドの言葉少ない演技や表情を短い和訳にすることも含めて、こういう映画の評価に厳しい方もいらっしゃるのでしょうね。

決して激しい演技や演出、そして数多くの有名俳優が出ている映画ではありませんが、素晴らしい作品だったと思います。

私もきりちゃんさんがおっしゃるような「丁寧に作り上げられた映画」を希望する一人です。
酔いどれチロリ | URL | 2009/05/06/Wed 12:48 [EDIT]
ありがとうございます
レスありがとうございます。
さて、酔いチロさんの評の中で、
「慰めの報酬」と「ディア・ハンター」ですが、私も同じ感じ方をしております。

ベニチオ・デル・トロ、「トラフィック」の演技は素晴らしいですよ。
「チェ~」は、同じソダーバーグでも、ちょっと失速気味のようですね。

酔いチロさんが、もし機会あれば、「スカイ・クロラ」をご覧になったら
どうお感じになるかなあって興味が湧きます。

それと「ブラス」、メジャーではありませんが、きらっと光るものがある、
忘れられない作品のひとつです(吹奏なさってたのですね)

それにしても、酔いチロさんのblogは、おいしそうなものに溢れかえっていますね!

関西の光と匂いを感じに、またお伺いしますね(^^)v
きりちゃん | URL | 2009/05/06/Wed 13:30 [EDIT]
No title
きりちゃんさん

再びのお越し、ありがとうございます。

稚拙なブログにもかかわらず、お読みいただいて恐縮です。

「スカイ・クロラ」未見でした。是非観てみたいと思います。
「ブラス」はDVDでの観賞となりましたが、ブラバン経験者としては感慨深い映画でした。

飲み食いの記事は、日々脱メタボと欲求がせめぎあって、食い意地が勝ってしまっている結果です。
(^_^;)

今後ともよろしくお願いします。

酔いどれチロリ | URL | 2009/05/06/Wed 15:35 [EDIT]

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